【精密加工のプロが解説】多くの設計者が直面する「複雑な曲げ形状における品質の不安定さ」その課題を解決する「45度方向の材料取り」とは？
複雑な薄板バネの金型設計において、材料の異方性を利用し、中間の特性を示す45度方向で材料取りを行うことで、加工安定性と品質を飛躍的に向上させることが切り札となります。
多くの設計者が直面する「複雑な曲げ形状における品質の不安定さ」という課題。
この課題を解決し、安定した高品質な製品を生み出す鍵として「45度方向の材料取り」という手法がございます。
今回は、薄板バネの金型設計における重要なテクニック「45度方向の材料取り」について、
その有効性を深掘りして解説します。
複雑な薄板バネの金型設計こそ「45度方向の材料取り」が品質安定の切り札となります
薄板バネの製造においては、材料の特性を最大限に活かし、品質を安定させるためには金型設計が極めて重要です。特に、「複数の曲げが複雑に絡み合い、かつ全ての曲げRが同レベルの小さな形状」を持つ薄板バネでは、従来の材料取りだけでは生産品質の安定化が難しい場合があります。
ここで私たちが提案するのが、「45度方向からの材料取り」です。この手法は、材料固有の異方性を巧みに利用し、特定の加工条件化で、スプリングバックの低減や割れの発生リスクを抑え、期待通りの形状と性能を実現するための有効な解決策となります。
薄板バネ材料の「異方性」が従来の設計を難しくする
なぜ、薄板バネ材料の「異方性」が従来の設計を難しくしているのでしょうか。
薄板バネは、精密機器から自動車部品まで幅広く使われていますが、その材料、特にステンレス鋼や銅合金の薄板には特有の性質あります。材料の異方性とは、引張強さや伸びといった物性が、材料の圧延方向（長手方向）とそれに直角な方向とで異なる現象を指します。
基本的には、加工度の高い箇所や、曲げR（半径）がより小さい部分は、伸びに優れる材料の長手方向に配置します。逆に、直角方向には、相対的に加工度の低い、曲げRが大きい部分を配置することで、安定した加工品質が得られます。
しかし、この基本的な考え方だけでは対応しきれない、特定の複雑な形状が存在します。そうしたケースでは、すべての曲げ部を最適な方向に配置することが困難になり、品質のバラつきや不良発生のリスクが高まってしまうのです。
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▼材料の異方性についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
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「45度方向の材料取り」が有効なケース
では、どのような状況で「45度方向の材料取り」が真価を発揮するのでしょうか？
それは、特に以下のような「特定の設計（加工）形状」において、非常に有効な手段となります。
ケース：
全ての曲げ箇所が90度方向に配置され、かつ全ての曲げ箇所が同レベルの小さな内側曲げRで構成された形状
このような複雑に入り組んだ曲げ形状では、従来の「長手方向と直角方向への配置」という考え方だけでは、限界があります。ある曲げは長手方向に配置できても、別の曲げは否応なく直角方向になってしまい、全体としての品質を保つのが非常に困難になるのです。
そこで、材料取りを45度方向とすることで、以下のメリットが得られます。
全ての曲げ部を直角方向に配置することなく加工が可能となる
: 45度方向から材料取りを行うことで、複数の曲げ箇所が異なる方向を向いていても、それぞれの曲げが完全に直角方向となることを避けられます。
物性のバランスが取れた加工安定性
: 45度方向の物性は、引張強さや伸びなどについて、長手方向と直角方向の中間の特性を示します。これにより、特定の方向への極端な負荷を避け、全体として安定した加工品質が得られやすくなります。
この45度方向からの材料取りは、長年の精密加工ノウハウを持つ弊社のような専門企業だからこそ、お客様の製品の特性を深く理解し、最適な提案が可能です。試作段階から量産まで一貫して高品質を追求いたします。
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金型はなぜ企業によって価格差があるのか
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最適な材料取りで高品質な薄板バネ製造を実現！_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
薄板バネ材料の金型設計において、材料の異方性を理解し、加工度の高い箇所を長手方向に、低い箇所を直角方向に配置するのが基本です。しかし、「全ての曲げ箇所が90度方向に配置され、かつ曲げRが小さな同レベルの形状」のような複雑な曲げ形状を持つ部品の場合には、45度方向への材料取りが有効な解決策となります。
これは、45度方向の材料が持つバランスの取れた物性により、加工安定性を飛躍的に向上させることができるためです。設計要件や加工性を深く考慮し、最適な材料取りを検討することが、高品質な薄板バネを効率的に生産するための鍵となります。
御社製品の特性を最大限に引き出すため、金型・試作・量産まで一貫して対応可能な弊社の専門知識と実績をぜひご活用ください。長年の経験で培ったノウハウを活かし、お客様の製品開発を強力にサポートいたします。
疑問点や具体的なご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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