技術ブログ 自動車部品を支える金属材料の進化:EV時代への展望


こんにちは!キョーワハーツの坂本留実です。

技術ブログを開いてくださりありがとうございます!

 
今回のテーマは…

「自動車部品を支える金属材料の進化:EV時代への展望」
 
自動車の進化は、まさに材料の進化の歴史でもあります。かつては内燃機関車の性能を最大限に引き出すために多様な金属材料が選ばれてきましたが、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)の登場により、その構成は大きく変化しようとしています。
 
エンジン関連部品:軽量化と高機能化の追求
 
エンジンブロックは、鋳鉄からアルミ合金、さらにはマグネシウム合金へと進化し、軽量化と放熱性が追求されました。ピストンもかつての鉄製から圧倒的にアルミ合金製が主流です。バルブ関係部品には、耐熱性と強度から高合金鋼、チタン、金属ナトリウムを封入したものまで使われます。ピストンリングやガスケットも、高機能化やアスベスト使用禁止を受け、ステンレス鋼などが採用されています。コンロッドやクランクシャフトは、高性能エンジン向けに高炭素系の合金鋼(鍛造品)が使われます。燃料配管やインジェクターは、ガソリンの腐食性からステンレス製です。排気系では、エキゾーストマニホールドが鋳鉄から高温耐性のあるステンレス鋼(SUS430系)へ、マフラーパイプにはフェライト系ステンレス(SUH409、SUS410)が一般的です。ラジエーターも真鍮からアルミ製が増え、大幅な軽量化に貢献しています。ガソリンタンクは、安全性と軽量化から樹脂製が普及しました。
 
ブレーキ・電装・艤装部品:安全性・効率性・美観の追求
 
ブレーキのディスクプレートは、航空機用として開発され、自動車では1960年代から鋳鉄製が普及。オートバイでは錆の問題からステンレス製が使われましたが、雨天時の制動性低下を改良型マルテンサイト系ステンレス(SUS410系)で克服しました。乗用車ではコストから今も鋳鉄製が基本です。
ヘッドライト部品は高熱化に伴い、耐熱性の高いステンレス(SUS309S、SUS310S)やセラミックス、耐熱樹脂が使われるようになりました。ワイパーはSUS304バネ材が重要でしたが、現在では防錆対策の樹脂塗装により、ステンレスの必要性は減少しています。
窓枠やモールディングには、国産車でステンレス製が主流です。特に冬季の道路結氷防止剤対策として、日本で開発された耐食性に優れた自動車モール用ステンレス鋼が世界標準となっています。
 
ハンドル部品と今後の展望
 
ハンドルのエアバッグ内蔵による重量増を打ち消すため、ほぼ全車でマグネシウム合金のダイキャスト製品が使われています。実用金属で最も軽く、今後多くの部品への採用が予想されます。
EV化に伴い、エンジンや排気・燃料系部品はモーターや電池に置き換わりますが、サスペンションやブレーキなどは大きな変化がないと予測されます。自動運転の進化は電気・電子部品の増加を促し、新たな商機を生み出すでしょう。自動車部品の材料は、これからも安全性、性能、軽量化、環境への配慮に応えるべく進化し続けます。

ありがとうございました(*^^*)
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