キョーワハーツの樋口です。トランプ大統領は最近、自動車貿易に関する強硬な政策を打ち出しました。米国産以外のすべての自動車に25％の関税を課すことを決定し、4月2日から発動しました。日米自動車戦争というと1980年代にデトロイトで日本車排斥活動が盛んになった時代があります。その時代に私はデトロイトを度々訪問していました。1985年から2000年までの間に数回訪問しています。そのころ、デトロイト市街には失業者が溢れ、荒廃していました。米国自動車労連がトヨタ・カローラをハンマーでたたき壊すシーンがニュースで流れていました。クライスラー社を人員整理解雇された米国人が飲食店で中国人をバットで殴り殺す事件が起きました。中国人を日本人と間違えて激高した挙句の事件でした。日米貿易摩擦が最も激しくなった時期です。

このような時期に私はデトロイト出張が楽しく、殺伐としたデトロイトの街中で、嬉々として仕事をしていました。GM車の外装部品の製造会社を訪問しステンレス鋼のプレゼンをしました。当時のアメリカ車の外観はステンレス製外装部品で輝いていました。ラジエターグリル、ウインドーモール、バックミラー、ホイールキャップ等々。多くの部品に日本製ステンレス鋼が使われていました。自動車関係だけでなく世界で最初の太陽電池量産メーカーも訪問しました。ステンレス鋼板が電池基板に使われており、ステンレス鋼表面に半導体回路被膜を蒸着します。複数の種類の蒸着皮膜を100メータ―に及ぶ連続真空表面処理装置内で大面積の電池を大量生産可能です。湾岸戦争において大活躍だったそうです。世界初の自動車排ガス浄化触媒装置用金属製コンバーターの発表論文を入手したのも市内コボホールで開催された米国自動車学会に出席した際です。これは従来セラミック製であった触媒コンバーターを、ステンレス箔で製造した製品です。その一年後には日本でもこのステンレス鋼製触媒コンバーターが生産開始されました。
デトロイト・タイガースに野茂英雄が移籍してきたのもこの頃かと思います。日米貿易摩擦、日本車排斥活動なぞ全く気にも留めずデトロイトを訪問していました。
現代のアメリカ国民は日本車を排斥しようと考える人はいません。日本車は米国で大人気です。トヨタカムリ、ホンダシビック、アコード、スバルなどです。アメリカの自動車レースシーンで、NASCARではトヨタカムリがフォードマスタング、シボレーカマロと競い合っています。INDY CARではホンダエンジンとシボレーエンジンの戦いです。因みに今年のインディー500マイルレースではホンダエンジンが優勝です。日本車がいない全米選手権レベルの自動車レースは成立しないでしょう。そもそも売れ筋の日本車は殆どがアメリカで生産されています。現代では日米自動車貿易戦争は存在していません。日本車はアメリカの工業生産品として、さらにアメリカ国民にとっても欠かせない存在となっています。

余談ですが1975年頃、私はフルサイズの米国車に乗っていました。ビュイック・リーガルという車で全幅2ｍ、全長５ｍ越えの大きな車を乗り回していました。細い路地でも平気で走りましたが、対向車がすれ違うことが不可能になる状態が頻繁に起こりました。とても周囲に迷惑をかけます。細い道で大きな米国車が迫ってくると対向車が下がって避けてくれます。結局、排気量7,500ccエンジンの燃費が2～3ℓ/kmと極端に悪いことで乗り続けることが困難になりました。

製品開発のヒントになれば嬉しく思います。

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第37回 ものづくりワールド東京「機械要素技術展」に出展いたします。

■日時：2025年7月9日 (水)～11日(金)10:00～17:00
■場所：幕張メッセ（2ホール、小間番号6-32）
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